機能性ディスペプシアとは

機能性ディスペプシアは、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みをはじめとする症状が自覚されている一方で、内視鏡で観察しても粘膜に異常が認められない病気です。内視鏡検査が広まる以前は、ストレス性胃炎などと診断されることもありました。ある調査では、日本人の10人に1人が機能性ディスペプシアであると言われています。
胃食道逆流症(GERD)・機能性ディスペプシア セルフチェック
- 胸やけがしますか?
- ものを飲み込むと、つかえることがありますか?
- 苦い水(胃酸)が上がってくることがありますか?
- 喉(のど)の違和感(ヒリヒリなど)がありますか?
- おなかがはることはありますか?
- 食事をした後に胃が重苦しい(もたれる)ことがありますか?
- 食事をした後に気持ちが悪くなることがありますか?
- 食事の途中で満腹になってしまいますか?
- ゲップがよくでますか?
- 食事をした後にみぞおちが痛みますか?
- 空腹時にみぞおちが痛みますか?

チェックが多い方は、機能性ディスペプシアの可能性があります。当院まで是非ご相談ください。
機能性ディスペプシアの原因
機能性ディスペプシアの原因には、さまざまなものが考えられます。また、それぞれの原因が互いに影響し合って、症状を悪化させていることも少なくありません。
- 胃・十二指腸の運動機能の阻害
胃に食べ物が溜まり、その先へと送られる機能に異常があるケースです。送られるタイミングが早すぎたり、遅すぎたりすることで、症状が現れます。ストレス、過食、不規則な食生活、喫煙、アルコール摂取などがそのリスク要因になると言われています。
- 胃・十二指腸の知覚過敏
健康な方の胃や十二指腸は症状が出ませんが、わずかな刺激が誘因で症状が出やすいケースです。
- その他
ヘリコバクター・ピロリ菌感染や感染性胃腸炎などの疾患、遺伝、喫煙習慣、アルコール摂取、不眠などを原因として、症状が現れることがあります。

検査・診断

機能性ディスペプシアは、「内視鏡で観察しても粘膜に異常が認められない状態」にもかかわらず、胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みをはじめとする症状」を呈する疾患です。具体的には、みぞおちの痛み、みぞおちの焼けるような感じ、胃もたれ感、早期満腹感のうちの1つ以上の症状が慢性的にあり、胃カメラ検査、ピロリ菌検査の他、血液検査、エコー検査などで異常が見つからない場合に、機能性ディスペプシアと診断します。
ピロリ菌と機能性ディスペプシア

かつては「慢性胃炎」とひとくくりにされていたケースでも、現在は厳密に診断が下されるようになっています。その代表的な疾患が、ピロリ菌感染性の慢性萎縮性胃炎と機能性ディスペプシアです。特にピロリ菌感染による萎縮性胃炎が持続していると胃の運動能が低下したままになります。除菌治療にて胃の運動能を取り戻す可能性があります。正しい診断を受けることで、適切な治療が可能になります。慢性的な胃の症状で長くお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
治療・お薬について

機能性ディスペプシアの治療では、投薬と生活習慣・食習慣の改善が重要になります。
お薬による治療
諸症状の考えられる原因に応じて、胃酸の分泌を抑える薬、胃の働きを助ける薬(アコチアミド、モサプリドクエン酸)、漢方薬(六君子湯など)などを使用します。抗うつ薬や抗不安薬(スルピリドなど)が有効であるケースも見られます。また、ピロリ菌に感染している場合には、ピロリ菌の除菌治療を行います。
生活習慣・食習慣の改善
規則正しい生活を取り戻すことで、自律神経の乱れを改善することができます。胃腸の動きが低下していることから、水分を多く摂り、小分けにゆっくり食べることを意識しましょう。
また、胃に優しい食べ方(よく噛む・食べ過ぎない・食べてすぐ運動をしない)をすることも有効です。
予防・食事について

機能性ディスペプシアの予防では、生活習慣と食習慣の改善が有効です。また、機能性ディスペプシアになる方は、ストレスを抱えがちだと言われています。ストレスを“ゼロにする”のではなく、“うまく付き合っていく”ことを意識していきましょう。
生活習慣の改善
機能性ディスペプシアの原因にはさまざまなものが考えられ、自律神経の乱れもそのうちの1つになることがあります。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動により生活リズムを取り戻し、自律神経の働きを整えておきましょう。また、喫煙習慣のある方は、できる限り禁煙しましょう。
食習慣の改善
よく噛むこと、食べ過ぎないことなど「胃に優しい食べ方」をするのが第一です。併せて、体調を整えるためにも、バランスの良い食事を摂るように気をつけましょう。いきなり過度に節制するのは、かえってストレスとなる恐れがあります。無理のない範囲で徐々に改善していきましょう。
適度な運動をしましょう
身体を動かし、程よく汗をかくのは、ストレスの解消に大いに役立ちます。ウォーキング、ジョギング、水泳、その他のスポーツなど何でも構いません。ちょっとした時間に気軽にできるものを一つ作っておくと良いでしょう。無理なく、運動を楽しむことが大切です。